とうしょう尚   崎 尚

作陶、土味へのこだわり

香登付近の原土

備前の香登(JR赤穂線・香登駅東)付近の粘土は、
粘土自身の粒子が非常に小さくて、耐火度は低めです。
精土の前の原土は石のようでカチカチと音を立てます、
それを解砕の時には、米粒台の大きさにまで、細かくしておかないと、
なかなか溶けて水簸が出来ないでいます。
焼きあがりはツルツルとシットリっと言った肌の質感で、
緋スキの発色はまずまずです。

制作・焼成のサンプル


焼成品=左側:電気炉酸化焼成、
右側:角窯の弱還元焼成



地下8メートルの位置にある
黒土の粘土層です。

ユンボのアームを最大に伸ばして
採掘をしていきます。
香登付近の原土の
採掘現場です。


採掘をされた粘土、原土は、そのまま使うことは、出来ないです。
カステラのようにフワフワとしてロクロに掛りませんし、
成形してもヒビが発生したり変形が激しく、作品には仕上がりません。
また、藁の形がそのまま出てきたり、爪くらいの小石がそのままで
有ったり当然不純物も多く、素地を作ることは不可能です。
乾燥をしない状態で、水簸を試みて、水槽に粘土を入れて、
いくら撹拌をしても半固形のまま粘土が残り
水簸が出来ないのです。
そこで、一度、乾燥をさせないといけないのですが、
乾燥することで、水簸が出来るようになります。
乾燥により、粘土が溶解しやすくなるのですが、、、。

香登や寒風の粘土はとにかく硬い、
仕上がりがシットリとなると言う事は粒子が小さいということで、
とにかくカステラが、硬い石のように、原土が変身をします。





原土を徐々に片手ハンマーで、
解砕をしていきます。


上の採掘現場より
採掘され、乾燥をした、

香登の原土です。


この塊が一番下の形になるまで
ハンマーを振り続けます。


最初はカチカチという音が、
小さくなるとピチピチと弾くような
音に変わります。



バケツ一杯の乾燥粘土の解砕が
一日の仕事です。

これが、本当に大変です、
とにかく、石のように硬く
小さな粒まで、本当に硬いです。



100gの粘土を作るのにどれぐらい
ハンマーを振るのかな?
なんて、考えてしまいます。


解砕の原土を同じように水簸をして
フルイを通して粘土にしていきます。
水槽には黒い藁の破片が、
浮揚してきます。
これは60目のフルイから取り除かれた、
小砂と溶けきれていない粘土の粒や、
黒く焼けたような藁らしきものの破片が、
多く残っていています。
少し乾燥をされるとパンの固くなって
ポロポロって言う感じになります。
焼成しても姿を残す、地層でも姿を残し、
藁の強さに恐れ入ります。
         
硬く石のような乾燥原土が、ドベ鉢に泥水となり移されれば、
シットリ、ツルツル感のある粘土に出来あがります。

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